中小企業・小規模事業者がとるべきセキュリティ対策、はじめの第一歩

中小企業・小規模事業者の経営者の中には、「うちは小さいから狙われないだろう」「セキュリティにまで手が回らない」と思っている方も多いかもしれません。

しかし現実には、サイバー攻撃の被害は企業規模を問いません。独立行政法人IPAの調査では、情報セキュリティ対策に「全く投資していない」中小企業が3割以上にのぼり、その主な理由は「必要性を感じない」ことだといいます(出典:IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査報告書」)。

さらに、警察庁の発表によると令和6年に報告されたランサムウェア被害の内、中小企業が占める割合は企業は約63%と、中小企業にとっても、情報漏えいや業務停止などの被害は決して他人事ではないのです。


セキュリティ事故が企業にもたらす影響

サイバー攻撃と聞くと「パソコンがちょっと調子悪くなる程度」と思われがちですが、実際には事業継続に関わる深刻な事態を引き起こします。

  • 顧客情報や社内データの漏えいによる信用失墜
  • 取引停止や損害賠償による金銭的損失
  • 業務復旧まで1か月以上かかるランサムウェア被害(復旧費用1000万円超のケースも)

こうしたリスクを軽減するには、普段からの備えが不可欠です。


最初の一歩は「現状把握」から

では、セキュリティ対策をまだ本格的に始めていない企業は、何から手をつければよいのでしょうか?

まずはIPAが提供している無料ツール「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」を試してみてください。

▶ 自社診断ツールの特徴

  • IT知識がなくても回答できる25問のチェックリスト形式
  • 点数に応じて自社のセキュリティレベルが判定される
  • 判定結果に応じたアドバイスも表示される

📌例:49点以下の場合「いつ情報流出などの事故が起きてもおかしくないレベル」と評価される可能性あり。

落ち込む必要はありません。この診断を通じて「自社の弱点」を知ることが、まさに第一歩となるのです。


いますぐ取り組める「情報セキュリティ5か条」

診断結果を踏まえたら、次は情報セキュリティ5か条を確認しましょう。これはIPAが推奨する基本対策で、どれも今日から実行できるものばかりです。

📋 情報セキュリティ5か条

  1. OSやソフトウェアを常に最新の状態にしよう!
  2. ウイルス対策ソフトを導入しよう!
  3. パスワードを強化しよう!
  4. 共有設定を見直そう!
  5. 脅威や攻撃の手口を知ろう!

これらの情報セキュリティ対策の実施を対外的に宣言できる制度が「SECURITY ACTION(セキュリティ対策自己宣言)」です。

「★一つ星」宣言を行えば、ロゴマークを名刺やHPに掲載でき、取引先や顧客への信頼アピールにもつながります。


支援機関・補助制度の活用も視野に

社内にIT専門人材がいなくても、外部の支援を活用すれば無理なく対策を進められます。

💡 無料相談できる公的機関

  • よろず支援拠点:経営相談の一環として情報セキュリティの助言も可能
  • 企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が企業組織向けに開設

💰 補助金・助成制度の例

制度名内容補助率・補助額
IT導入補助金(セキュリティ対策推進枠)サイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールを導入するための経費の一部を補助小規模事業者:2/3以内、中小企業:1/2以内で5万円~150万円
東京都中小企業振興公社 サイバーセキュリティ対策促進助成金サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる機器等の導入、およびクラウド利用に係る経費助成率1/2以内、助成額1,500万円(申請下限10万円)

⚠ いずれも申請時期・条件に注意。SECURITY ACTIONの取得が条件になるケースもあります。


よくある質問(FAQ)

Q. セキュリティ対策って具体的に何をすればいいの?

A. OS更新・ウイルス対策・パスワード管理など、まずはIPAの情報セキュリティ5か条や中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインを参考にして始めてみましょう。

Q. 自社診断の結果が悪くても問題ない?

A. 問題というより、「伸びしろがある」と前向きに捉えましょう。対策の方向性を知ることが大切です。

Q. 外注に頼むと高額になりませんか?

A. 初期は公的機関の無料相談を活用し、必要なところだけ外部委託するのがコストを抑えるコツです。


おわりに:今日から始める「第一歩」

サイバー攻撃の脅威は中小企業にも確実に迫っています。しかし、今の日本には中小企業を支援するツールや制度が整いつつあります。

まずは「知る」こと、そして「小さく始める」ことが大切です。

情報セキュリティ対策は難しそうに見えますが、無料診断や5か条の実践など、身近なアクションからでも十分効果はあります。

「うちは関係ない」と思わず、ぜひ今日から一歩を踏み出してみてください。未来の自社を守る大きな一歩になるはずです。

少しでも気になった方は、お問い合わせフォームからご相談をお待ちしております。


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